【特別対談】「東京五輪、A代表への招集なるか!? 活躍が期待される、Jのニューフェイス達」

COLUMN河治良幸×清水英斗 世界基準の真・日本代表論②

【特別対談】「東京五輪、A代表への招集なるか!? 活躍が期待される、Jのニューフェイス達」

By 清水 英斗 ・ 2020.4.30

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レジェンドスタジアムで連載を続ける、河治良幸、清水英斗の両氏がお届けする特別企画。対談2回目は、大卒ルーキーを始めとする、期待のニューフェイスについて語ってもらった。


清水:東京五輪が1年延期になりました。それにより、今季活躍することで、五輪のメンバーに選ばれたり、W杯最終予選の秘密兵器になる選手が出てくる可能性もあります。1年目のルーキーには、期待したい選手がたくさんいますね。


河治:FC東京の安部柊斗を始め、何人もいます。


清水:そうそう。特にFC東京や鹿島はいい選手を獲っているじゃないですか。


河治:FC東京は大卒ルーキー、鹿島は高卒ルーキーですね。安部柊斗は東京五輪と言わず、A代表に入ってもいいぐらいの選手です。今季のJリーグ開幕前に東慶悟の怪我があって、AFCチャンピオンズリーグに出場しました。その試合では、「東が復帰しても、ポジション取り返せるのか?」というほどのプレーをしていました。東京五輪が来年の夏になったことで、メンバー入りの可能性が出てきた選手だと思います。


清水:はい。


河治:安部に関して言うと、攻守の切り替えや試合の流れを引き寄せるメンタリティ、強いパーソナリティを感じます。選手の評価に厳しい長谷川健太監督も、絶賛しているほどです。FC東京には紺野和也もいます。彼も東京五輪、そしてA代表に食い込むポテンシャルはあると思います。高卒ルーキーに関しては、鹿島アントラーズの荒木遼太郎や松村優太など、いきなり試合に絡んでいるタレントもいます。松村はルヴァンカップの開幕戦で退場しちゃいましたけど、ああいう経験をした選手って、意外と伸びることもありますし。


清水:鹿島には染野唯月もいますからね。負傷していたけど、中断期間に復帰したので楽しみです。すごい得点センスを持っていますから。


河治:パリ五輪(2024年)の世代ですよね(笑)。


清水:そうですね。昔を思い出すと、19歳ぐらいでA代表に入った選手は、小野伸二(FC琉球)や香川真司(サラゴサ)などがいたわけで。長友佑都(ガラタサライ)もルーキーイヤーでA代表に入りました。


河治:内田篤人(鹿島)とか、怪我をする前の山田直輝(湘南)もそうですね。


清水:そうそう。パリ五輪世代の能力の高さも半端ないと思うので、久保建英(マジョルカ)だけじゃなく、もっと入ってきてほしい。この1年でJリーグで試合に出れば、チャンスはあるんじゃないかなと思います。


河治:18歳の松岡大起(サガン鳥栖)も、金明輝監督のもとで主力として期待されています。ほかにも斉藤光毅(横浜FC)など、U-20のスケールに収まらない選手はいますからね。ただ、横浜FCには大卒ルーキーの松尾佑介という、左のすごいサイドアタッカーがいるので、出番を得るのが難しいとは思いますが。松尾は昨年、特別指定ながら「J1昇格の立役者」と言っても過言ではない活躍をしました。ルーキーイヤーからでも、A代表を目指してほしい選手です。左のサイドアタッカーなので、原口元気(ハノーファー)やタイプは違いますが中島翔哉(ポルト)との争いになりますが…。


清水:川崎フロンターレの三笘薫も含めて、いい選手はたくさんいます。ただ、攻撃的なポジションは激戦区でもあるので、どうなるのか。


河治:森保さんで言う4-2-3-1の左のサイドアタッカー。3-4-2-1の場合はアウトサイドやシャドーなど、そのポジションでプレーできる有力選手はたくさんいますからね。遠藤渓太(横浜F・マリノス)もそう。若手以外にA代表未招集の選手で、有力候補はいますか?


清水:ガンバ大阪の小野瀬康介。E-1のメンバーが五輪中心じゃなかったら、間違いなく入っていたと思います。


河治:そうですね。ただ、小野瀬が未知数なのは、代表でのオフザピッチの部分です。日本代表という特殊な世界で、パーソナリティを出せるかどうか。代表チームは主張のぶつかり合いみたいなところがあって、クラブで素晴らしいプレーをしても、代表でおとなしい選手は影が薄くなってしまうこともあります。中村敬斗(トゥエンテ)のように、どんな環境でも飄々としているタイプだといいんですけど。


清水:はい。


河治:昨年のE-1で初招集された仲川輝人(横浜F・マリノス)はメンタル面の問題はないですが、コンビネーションが洗練されたチームでプレーしている分、代表では時間がかかる印象がありました。小野瀬に関しては、その心配はないと思いますが、コミュニケーションや自己主張をどれぐらいして行けるかは未知数です。


清水:代表に縁のある選手、無い選手という言い方はありますけど、性格的な向き不向きはやっぱりあると思う。空気を読んだら逆に負け、みたいな。


河治:そうそう。相馬勇紀が鹿島で試合に出られていなかったのに、いきなり代表でやれたのって、ある種、空気を読んでいないからですよね(笑)。代表は連携意識や一体感も大事ですが、フレッシュな選手は、まずは存在感を出すこと。サポーターに向けてもそうですし、監督やチームメイトに対して「こいつ、すげえ」と思わせられるか。練習での振る舞いも含めて、単純な能力だけではない世界です。


清水:代表活動の8割ぐらいは競争がベースですから。


河治:特に森保さんはタヌキな部分がありそうですからね。U-23の合宿でも、横内コーチが指導をしていて、森保さんは後ろの方で見ていたことがありました。「誰が自己主張するのか?」と、観察していたようです。


清水:そういうのは大事だと思うんですよ。だから、昨年の11月に森保さんがA代表と五輪代表を行ったり来たりしたのはダメだと、書いたことがありました。じっくりと選手を見られないですから。


河治:やっぱり専任にするべきですかね。A代表監督の資質、五輪代表での資質とか、そもそも能力がどうとか言われていますが、まずは専任でやって欲しいなと思います。


清水:専任か兼任なのかは、両論あってもいいと思いますが、一つの活動期間、約10日間の間に2チームを行き来するのは無しだと思う。その2試合の目的、反省、意気とか、色々なものがぶれてしまう。


河治:兼任にするならするで、スタッフの体制を見直して、森保さんがどっち付かずにならないように、もっと選手を見られる環境にしなきゃダメだと。


清水:そうですね。1つ1つの活動は固定して、集中して欲しい。それがあってこそ、日々の活動の中で、代表向きの選手かどうかの見極めもできると思うんですよ。選手の側も、その瞬間に相談したいこともあるでしょうし。そこで監督がいなければ、どうしようもできない。コーチや代行者に相談しても、戻ってきた監督がその相談を生かしてくれなかったらと考えるとリスキーです。


河治:A代表候補の選手に話を戻すと、坂元達裕(セレッソ大阪)は面白いと思います。昨年、モンテディオ山形では3-4-2-1の右シャドーで使われていましたが、セレッソでは右サイドハーフでも存在感を出しています。要求の高いロティーナ監督に重宝されていて、インサイドでもアウトサイドでも、オンザボール、オフザボールの両方で推進力を出せるタイプです。


清水:坂元のプレーは開幕戦しか観れていませんが、もっと観てみたい選手です。いきなりA代表は難しくても、慣れていけば十分に可能性はありそうですね。


河治:そう思います。坂元はJ1の開幕戦に出ていた新加入の選手で、一番光っていました。先ほど名前を出した安部柊斗は、手の怪我で開幕戦には出ていませんでしたが。坂元は1996年生まれなので、年齢制限にかかってしまうのですが、五輪が1年延期になったので、オーバーエイジの考え方も変わっていいと思うんです。柴崎岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)が呼べなくても、96年生まれの年齢の近い選手が戦力として必要ならば、オーバーエイジとして招集してもいい。


清水:もし、W杯の最終予選と五輪の日程が被るのなら、A代表のオーバーエイジが五輪に集中して、5月末から一緒にやるといった、スーパーな強化は無理になりました。おそらく、大迫勇也がオーバーエイジで招集されるとしても、大会の直前に合流する形になると思います。それならば、早期合流が可能なオーバーエイジとして、坂元のような選手を呼ぶのはありですよね。もちろん、いきなり招集だと難しいので、何度か五輪チームに呼んで馴らすのが前提ですが。


河治:坂元の場合は、そもそも五輪代表でポジション的に必要かという話になりますけど、96年生まれにもいい選手はたくさんいるんです。昨年の親善試合で数人呼ばれましたが、コンサドーレ札幌の進藤亮佑、サンフレッチェ広島の荒木隼人など。95年、96年生まれの選手は、五輪では谷間の学年なので、代表では微妙な立ち位置ですが、才能のある選手はいますからね。(次回に続く)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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