U-20W杯中止に負けるな。パリ五輪での活躍が期待される、2001年以降生まれの若手Jリーガー

COLUMN河治良幸の真・代表論 第75回

U-20W杯中止に負けるな。パリ五輪での活躍が期待される、2001年以降生まれの若手Jリーガー

By 河治良幸 ・ 2021.2.25

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新型コロナウイルスの影響で、日本代表の活動が危ぶまれている。特に打撃を受けているのが、育成年代だ。2020年末にU-20W杯の中止が決定すると、年明けにはAFCの大会も中止が発表され、影山雅永監督が率いる”01ジャパン”(U-20代表)と、森山佳郎監督が率いる”04ジャパン”(U-17代表)は目標を失ってしまった。


彼らの経験や国際的なアピールの機会が失われたことは残念だが、所属クラブに集中できるという前向きな捉え方もできる。そこで今回は2024年のパリ五輪に出場可能な、2001年以降生まれのJリーガーにフォーカスしたい。ポテンシャルの高い若手選手は多くいるが、今シーズンの主力として活躍が見込めるタレントをピックアップした。


J1クラブの主力として評価を上げているのが、サガン鳥栖のMF松岡大起。ハードワークをベースとしたボール奪取能力に優れ、攻撃の組み立てもハイレベルなMFだ。この年代ではリーダー格の選手だが、鳥栖でも副キャプテンに抜擢され、関係者やファン・サポーターの期待を背負っている。


鳥栖の金明輝監督は「プレーの矢印が強い分、相手に読まれやすいというか、わざと引きずり出されることがある」と、松岡の課題を指摘しており、状況判断に磨きをかけていくことが、さらなる飛躍に繋がりそうだ。


サガン鳥栖は松岡を筆頭に、アカデミー出身の選手が多く台頭しており、松岡とともに”01ジャパン”に選ばれてきた本田風智もその一人。同じMFだが、推進力のあるドリブルからのラストパスやミドルシュートが武器の選手だ。さらに、トップ昇格したFW兒玉澪王斗、MF相良竜之介などが、相乗効果を生み出していけるか。


2003年生まれの中野伸哉は二種登録ながら、昨シーズンは左サイドバックで終盤にレギュラーをつかんだ。技術と戦術眼を併せ持つ世代屈指のタレントで、新シーズンは全国区となる活躍が期待される。


浦和の青森山田出身コンビ


リカルド・ロドリゲス新監督が率いる浦和レッズでは、高卒2年目の武田英寿が右サイドハーフのファーストチョイスになりそうだ。もともとインサイドが本職ながら、ビルドアップ時に右サイドバックがウィングの位置まで上がる独特なシステムのため、レフティの武田は中に流れることが多く、”逆足”を生かしやすい。正確なキックはコーナーキックでも威力を発揮しそうだ。


守備の強度が高まれば、ボランチでの起用も視野に入るが、浦和の新スタイルでは攻撃的なポジションで勢いをもたらす方が、ポテンシャルを発揮しやすいかもしれない。青森山田高の後輩であるDF藤原優大も空中戦の強さを武器に、課題のビルドアップを磨いて、ルーキーイヤーでのレギュラー獲りを目指す。


FC東京は右サイドバックの中村拓海が、昨シーズン以上のパフォーマンスを見せられるか。タイミングの良い攻め上がりからのクロスは魅力的だが、長谷川健太監督はリーグタイトル獲得のため、サイドバックのアシストが増えることを求めており、精度だけでなく、ゴール前に走り込むFW陣との意思疎通も鍵になる。


バングーナガンデ佳史扶もスピード豊かで、もしAFC U-19選手権が行われていたら、左サイドバックのスタメン候補になっていたはず。FC東京の主力に上り詰めるため、勝負のシーズンなる。今季トップ昇格したDF大森理生は、目標である森重真人とセンターバックを組むことを目指し、渡辺剛やジョアン・オマリといった強力な壁に挑む。


注目が集まる、鹿島の若手選手たち


アカデミーから多くの才能を生んできたサンフレッチェ広島では、昇格2年目の鮎川峻が目の色を変えて、城福浩監督にアピール中だ。積極的な仕掛け、冷静なフィニッシュに加えてチェイシングが素晴らしく、前線から守備のスイッチを入れる急先鋒として、ジュニオール・サントス、ドウグラス・ヴィエイラなど、強力な外国人FWとコンビを組む形で、開幕スタメンに名を連ねてもおかしくない。


ザーゴ監督2年目となる鹿島アントラーズでは、高卒2年目の荒木遼太郎がさらなる輝きを放てるか。昨シーズンは後半戦に出番が減ってしまったことを反省材料として、同世代の松村優太や経験豊富な遠藤康、ブラジル人のファン・アラーノとポジションを争うことになる。


FW染野唯月も非凡な才能を認められながら、ルーキーイヤーは怪我に泣いており、エヴェラウド、上田綺世という強力なライバルに挑む中で、まずはジョーカーとしての地位を確立し、序列を突き崩したい。


鹿島は外国籍選手を除くと、新加入はトップ昇格を含む新卒選手ばかり。その中で、高校選手権を沸かせた昌平高出身のMF須藤直輝と小川優介が、いきなりチャンスを得る可能性はある。須藤はフットサルやフリースタイルで磨いたボールタッチとゴールに直結するプレーが光る選手で、ワンタッチ、ツータッチを主体とした鹿島のスタイルに、自身の特徴をどう融合させるかにトライしている。


小川優介は戦術適応力が高く、攻撃リズムに変化を与えられる選手だ。ボランチには、ユースから昇格した展開力のある舩橋佑、実績十分の三竿健斗やレオ・シルバ、注目の新外国人ディエゴ・ピトゥカが主力候補となる中で、出場機会をつかめるか。鹿島は経験のある選手たちでファーストセットを組めるが、各ポジションの2番手、3番手に若い選手がひしめいており、彼らの突き上げが、そのままチームの結果にもつながるはずだ。


ここまで、注目の若手を一気に紹介したが、次回もパリ五輪世代のタレントにフォーカスを当てていきたい。そして何より、2月26日に開幕するJリーグから、新たな逸材が出てくることを期待している。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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