大岩剛監督のもと始動した、2023年のU-20W杯を目指す”03ジャパン”の現在地

COLUMN河治良幸の真・代表論 第80回

大岩剛監督のもと始動した、2023年のU-20W杯を目指す”03ジャパン”の現在地

By 河治良幸 ・ 2021.5.14

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5月5日、2023年のU-20W杯を目指すU-18日本代表(03ジャパン)が、Jヴィレッジでスタートした。元日本代表DFで、鹿島アントラーズを指揮した大岩剛監督が初めて指導にあたり、関東大学選抜と2試合のトレーニングマッチを行った。


「この状況下で代表合宿が行えたこと、試合を開催できたことを、関東大学選抜の選手やスタッフ、Jヴィレッジの皆さんに感謝したい」


開口一番にそう語った大岩監督は「試合では押し込まれる場面も多かったですけど、徐々に慣れて、自分たちでプレッシャーを外していく術を見せるなど、ゲームの中で変えられることを見せてくれた」と、選手たちの才能とメンタリティを高く評価した。


「この年代を見るのが初めて」という大岩監督は「選手たちはどう思ってるかわかりませんけど、こちらの要求を高くしてスタートした」と語るように、基本的な攻守の切り替えから球際のデュエル、判断スピードなどを遠慮なく引き上げて、意識づけをしたようだ。


キャプテンに指名されたMF遠山悠希(京都サンガF.C.U-18)は「メンタルコントロールが上手い」と大岩監督の指導を振り返り、印象に残った言葉として「ミスを恐れることがミス」というメッセージをあげた。


飛び級でメンバーを招集


今後の方針が表れていたのがメンバー構成だ。今年行われるはずだったAFC U-16選手権とU-17W杯が無くなった状況で、2004年、2005年生まれの選手からも”飛び級”で数名が参加するなど、カテゴリーの風通しを良くして、上でできる選手はどんどん引き上げるという方向性が見て取れる。


2004年生まれながら、合宿に参加したFW福田師王(神村学園)が「飛び級で選ばれ続けて、残り続けたい」と意欲を示せば、関東大学選抜との1試合目で2得点し、勝利に貢献したMF山崎太新(横浜FCユース)も「ここでアピールすれば、もっと上にいける」と語り、結果に浮かれることなく、自分なりの課題を整理していた。


このカテゴリーの代表選手たちは、常に上には上がいることを自覚して、目線を引き上げている。年齢的には、このカテゴリーの選手である17歳の中野伸哉(サガン鳥栖U-18)は、すでにトップチームで主力を張り、アルゼンチンと2試合を行ったU-24日本代表にも選ばれた。


この代表合宿期間に開催されたルヴァン杯では、2003年生まれのFW屋敷優成(大分トリニータU-18)、2004年生まれの福井太智(サガン鳥栖U-18)がスタメン出場し、2004年生まれの梶浦勇輝(FC東京U-18)がベンチ入りしていた。


J2に目を移せば、2003年生まれのFW河野孝汰(レノファ山口)や2005年生まれの橋本陸斗(東京ヴェルディ)がリーグ戦でベンチ入り、あるいは出場している。


”03ジャパン”の立ち上げとなった今回のメンバーも現状はトップエリートという訳ではなく、代表活動はもちろん自チームでどんどんトップに絡んで活躍できなければ、生き残れない。


所属チームでのレベルアップに期待


大岩監督は、合宿に参加した選手たちの成長に目を細めながらも、選考に関しては妥協することなく、U-17代表にいる2004年生まれや、さらに若い年代のスタッフとも連携を取りながら引き上げていく意向を示している。


「現在の立ち位置と1年後、2年後から逆算すると、これからの2年間は選手たちにとって非常に重要。18歳、19歳は世界で言えば、トップトップでやれている選手もいる。そういうところに勝利しないといけない」


そう語る大岩監督は、当然ながら新型コロナウイルスの影響下で、U-17W杯をはじめとした国際試合を経験できないハンデを自覚している。


これまでなら、強豪と直接戦って通用したところ、通用しなかったところをフィードバックできていた。そうした経験の場が無いまま、アジア予選を兼ねるU-19アジア選手権や本番のU-20W杯に臨まなければいけない状況も想定しておく必要がある。


今回の合宿では、昨年から”01ジャパン”(現在のU-20日本代表)にも帯同していた内田篤人ロールモデルコーチも指導に加わり、海外で経験したことを選手たちに伝えたそうだ。


できるだけ早い段階で国際試合ができればベターだが、個人個人が高い意識を持って、例えば自チームの外国籍選手と一緒にトレーニングをしたり、Jリーグの試合でマッチアップするだけでも大きく違うだろう。


そうしたことを積み重ねながら、2年後の舞台を目指していく”03ジャパン”。最終目標はU-20W杯優勝だが、それも選手にとっては通過点でしかない。2024年のパリ五輪を目指す代表チーム、さらにはA代表に割って入る選手が、一人でも多く出てくることがもうひとつの目標だ。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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