遠藤航、鎌田大地、伊東純也、鈴木優磨…リオ五輪世代がいま欧州で輝きを放つワケ

遠藤航、鎌田大地、伊東純也、鈴木優磨…リオ五輪世代がいま欧州で輝きを放つワケ

2021.5.14 ・ 日本代表

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 ハーバード大学の人気教授、マイケル・サンデルの著書に『実力も運のうち』がある。普通は「運も実力のうち」だが、それを逆にしたタイトルだ。


 成功には理由がある。本人の努力、周囲の助力、環境、タイミング……いろいろな要素があると思う。能力があったから成功できたのは事実だろうが、能力があっても成功できなかったケースもいくらでもあるはずで、能力がすべてと考えるのは明らかに無理がある。むしろ能力以外の要因が大きいならば、やはり「実力も運のうち」と考えるのが正しいのかもしれない。


 成功している欧州組についても同じようなことが言えると思う。ブレイクした理由は「運」だろう。ただ、もちろんそれだけではない。


 リオ五輪世代の活躍については、単純にプレーヤーとしてピークの年齢だからだろう。人によってピークの時期は前後するとしても、27、28歳は心技体のバランスがいい脂の乗り切った年齢といえる。

  才能は不可欠だ。ただ、五輪メンバーに選出され欧州のクラブからオファーがあった選手たちだから才能があるのは前提である。しかし、才能があってもブレイクしない場合もある。成功するかどうかのポイントは才能以外のプレーレベルだ。


 例えば、伊東純也や浅野拓磨のスピードは才能だ。それがあるから移籍できた。彼らの速さが通用するレベルまでは昇っていける「可能性」がある。だが、現実にどのレベルでプレーできるかは才能以外の部分にかかっている。少なくとも得意なプレー以外も、そのリーグの平均レベルに達していないと試合に出場し続けるのは難しくなる。例えば守備ができないとすると、相手は確実にそこを突いてくるからだ。諸刃の剣ではレギュラーポジションを得るのが難しい。欧州でレギュラーポジションを獲得して活躍している選手は、自分の武器があるだけでなく、それ以外のプレーをレベルアップしたからこそプレーできている。


所属クラブとの相性も大きい。悪い例で恐縮だが、久保建英はずば抜けた才能があるけれどもヘタフェとの相性が悪すぎた。クラブのプレースタイル、監督の構想と合うかどうかは無視できない。ただ、移籍してみたら監督が代わり、方針も変わるということもよくあることで、このあたりは運としか言いようがない。

  リオ五輪世代で先行してブレイクした南野拓実、中島翔哉は、それぞれリバプール、FCポルトという高みに到達したものの、そこで活躍のチャンスを生かせずにチームを変えている。これもよくあることで、ブレイクした次の段階のハードルはさらに高くなる。マンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司、ACミランの本田圭佑もそこではブレイクできなかった。


 ビッグクラブからオファーがあれば断る理由はまずない。ただ、そこで失敗すると年齢的に再チャレンジの機会はなくなる場合がほとんどなので、成功した次のステップをどう踏むかはかなり悩ましいところではある。リオ五輪世代については、次のステップはまさに一発勝負だ。個人的にはプレー機会を得られそうなクラブを選んでほしいが、こればかりは本人の意思であり運に左右されるところは否めない。

  鎌田大地、遠藤航はブンデスリーガ、鈴木優磨、鈴木武蔵、伊東純也はベルギー。過去の状況を見ても、この2つのリーグは日本人選手が比較的成功しやすい。ベルギーは早くから外国籍選手を受け入れてきた流れがある。ドイツに関しても馴染みやすい環境があるのだろう。テクニカルなタイプが多い日本人にはスペインやポルトガルが合っているように思われるが、逆にそこでは埋没してしまいがちだ。あの中村俊輔でさえ、エスパニョールで「ロンド」をやると下手な部類だったと話していた。人種偏見が比較的薄く、日本人選手の特徴とリーグが求める人材の相性がよい、バイエルン・ミュンヘン以外のクラブにそれほど格差がない、そうした環境がおそらく日本人選手と合っているのではないか。


文●西部謙司(スポーツライター)



記事提供:サッカーダイジェストWEB

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