混迷バルサ、7日に実施される会長選はどうなる? 番記者の見立ては――【現地発】

混迷バルサ、7日に実施される会長選はどうなる? 番記者の見立ては――【現地発】

2021.3.4 ・ 海外サッカー

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 バルセロナの会長選挙が7日に実施される。当初、ビクトル・フォントが本命視されていたが、2003年から10年まで会長を務めたジョアン・ラポルタの出馬表明を境に、潮目が変わり現在に至る。


 その流れの変化を象徴したのがジョルディ・クライフによる「父(ヨハン・クライフ、2016年に死去)だったら、ラポルタに一票を投じるだろう。人々は過去のあのセンセーションを再び感じたいと願っている」という発言だ。


 くしくもビクトル・フォント陣営が掲げるスローガンは「未来にSi(イエス)」だ。過去との決別を高らかに謳っているにもかかわらず、プロモーションしている組織図でスポーツ・ディレクターと紹介されている当事者が距離を置く姿勢を鮮明にしたのだ。


 同じくその組織図においてジョルディ・クライフを任命し、ビクトル・フォントが当選すればゼネラル・マネージャーのポストに就くことになっているシャビも静観の構えを貫いている。2人とも本命に浮上したラポルタと表立って対決姿勢を示すことを避けたいという心理が働いているのは明らかだ。


 そもそもビクトル・フォントは、サンドロ・ロセイからジョゼップ・マリア・バルトロメウへとバトンタッチされた前政権の流れをくむ人物と一騎打ちする腹積もりで2013年から選挙活動の準備を進めていた。それもあって彼らと疎遠になっていたヨハン・クライフ&ジョゼップ・グアルディオラ派、その2人とともにドリームチームに名を連ねたOB、カタルーニャ・ナショナリズムのソシオの取り込みに傾注し、その答えがシャビやジョルディ・クライフを陣営に加えることだった。


 しかし、カタルーニャ・サッカー協会やジローナ(今シーズン、2部に所属)の会長を歴任した経験を持ち、そのロセイ&バルトロメウ政権を継ぐ人物と目されていたジョルデイ・ロッシュがメンバー編成の難しさやクラブが直面する深刻な財政難を理由に出馬を取りやめ、そこで新たなライバルとして登場したのがラポルタだった。


 ビクトル・フォントにとって不運だったのはイデオロギーにおいてラポルタと差異化を図れなかった点だ。ともにナショナリズムを公言し、政治的思想もサッカー観も似通っている。しかもラポルタのほうがクライフ・ファミリー、グアルディオラらドリームチームのメンバーと良好な関係を保ち、前回の会長時代の経験をもとにラ・マシアやユニセフとの繋がりも深い。


 政治的思想にしても、ナショナリストとして広く知られている。つまりビクトル・フォントが強みにしようとしていたことが、ことごとくラポルタの存在によって無効化されてしまったのだ。


 第3の会長候補者のトニ・フレイシャを含め、最も入念にプログラムを練ってきたのはビクトル・フォント陣営だ。一方、ラポルタ陣営は手のひらを明かすことなく、前政権時代の功績を強調するだけで有利にレースを進めている。前回会長時代に犯した過失や性格上の欠点も、その強烈なリーダーシップを前面に押し出すことでカモフラージュすることに成功している。


 すでに3候補者たちによる討論会が二度開催されたが、大勢は変わってはいない。5日の最後の討論会を経て、いよいよ決戦の日を迎える。


文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)

翻訳●下村正幸


※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事を翻訳配信しています。



記事提供:サッカーダイジェストWEB

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