優勝候補の筆頭にあげる人の多いブラジルにとっても、”ピクシー”ことストイコヴィッチ監督が率いるセルビアは、危険な相手だと思われた。
しかし、ブラジルはじわじわと主導権を握ると、0-0で迎えた後半は完全にペースをつかみ、2ゴールを決めた。
エースのネイマールを4-2-3-1のトップ下に置くブラジルは、4-4-2のゾーンディフェンスでセルビアの攻撃を封じ、攻撃では幅を使った多彩なチャンスメイクを披露した。
3-4-2-1のセルビアも、前半の途中までは10番タディッチと大型MFのセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチが起点となり、非対称のシステムを生かしたボール運びから、FWミトロヴィッチが合わせられれば…というシーンを作った。
ネイマールがチャンスメイク
それでもブラジルは、キャプテンのチアゴ・シウバとマルキーニョスという双璧が、ミトロヴィッチなどのセルビア攻撃陣に、バイタルエリアで仕事をさせなかった。
組織として穴を開けないように連動しながら、局面では個人の能力を存分に発揮するのがブラジルの本領である。
後半17分、ブラジルのリシャルリソンが鮮やかなゴールを決めたが、起点となったのはやはりネイマールだった。
ドリブルで左からペナルティエリア内に侵入すると、フォローに入ったヴィニシウスが右足でシュート。GKミリンコヴィッチが弾くも、こぼれ球をリシャルリソンが逃さなかった。
追う立場となったストイコヴィッチ監督は、さらに二人の選手を入れて反撃に出ようとするが、ブラジルはボランチのカゼミーロとルーカス・パケタの中盤でボールを奪うシーンが目立った。
リシャルリソンが2得点
ブラジルの追加点は、ヴィニシウスが起点となった。ペナルティエリアの左から、セルビアの二人のマークを嘲笑うかのように、右足のアウトで浮き球のクロスを送る。それに反応したリシャルリソンが左足のリフティングから、鋭く体を回転させてバイシクルシュートを叩き込んだ。
リシャルリソンの2ゴールでリードを広げたブラジル。後半30分には、ボランチにフレッジを入れ、中盤の強度を上げた。
攻めるときはしっかり攻めながら、クロージングを図ろうとしていたブラジルだが、後半34分に、ネイマールがピッチに倒れ込んでしまい、そのまま交代。足を引きずったままロッカールームに消えた。ここから先を考えると、エースの状態が心配される。
堅守のブラジル
セルビアがロングボールを中心に、身体的なパワーを押し出してくると、ブラジルはセカンドボールからやや危ないシーンを作られたが、GKアリソンが直接仕事をするシーンは少なかった。
セルビアの枠内シュートを0本に抑えたのは、ブラジルが誇るセンターバックコンビと、ボランチのカゼミーロの存在によるところが大きい。
ブラジルの課題は24本のシュートを記録しながら、相手GKの好セーブがあるにしても、2得点に終わったこと。ただし、ブラジルが初戦から本調子ということはほとんどない。
今回も決勝までの7試合を見据えて、100%の状態では入っていないはず。エース・ネイマールの負傷交代を除けば、幸先の良いスタートを切ったことは間違いない。(文・河治良幸)
FIFA ワールドカップ 2022 - グループG 第1節 ブラジル 2-0 セルビア
【得点者】
リシャルリソン(ブラジル) 後半17分
リシャルリソン(ブラジル) 後半28分
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FIFAワールドカップ カタール2022が 11月20日開幕!22回目となるスポーツ界最大級の祭典は史上初めて中東、冬開催の大会となる。1試合の交代枠が5人、登録選手も各チーム26人とルール変更もあり、新たなFIFAワールドカップとして記憶される大会となりそうだ。日本はFIFAワールドカップ フランス 1998から7大会連続7度目の出場となる。2002、2010、2018の3大会でベスト16に進出している。初のベスト8以上という目標を掲げて挑む森保ジャパンだが、ドイツ、コスタリカ、スペインと同居するグループリーグは過去最高に厳しい組み合わせとなった。強豪相手に如何にして戦うのか注目が集まる。
◇グループステージ 組み分け
【グループA】カタール、 エクアドル、セネガル、オランダ
【グループB】イングランド、イラン、アメリカ、ウェールズ
【グループC】アルゼンチン、サウジアラビア、メキシコ、ポーランド
【グループD】フランス、オーストラリア、デンマーク、チュニジア
【グループE】スペイン、コスタリカ、ドイツ、日本
【グループF】ベルギー、カナダ、モロッコ、クロアチア
【グループG】ブラジル、セルビア、スイス、カメルーン
【グループH】ポルトガル、ガーナ、ウルグアイ、韓国
◇日本戦情報
グループE 第2節 日本 vs コスタリカ
11月27日(日) 日本時間 19時00分 キックオフ
ABEMA LIVE中継 18:00
テレビ朝日系列 LIVE中継 18:40
グループE 第3節 日本 vs スペイン
12月2日(金) 日本時間 4時00分 キックオフ
ABEMA LIVE中継 3:00
フジテレビ系列 LIVE中継 2:00